いちばんぼたん
谷川 俊太郎
いちばん ぼたん とおりゃんせ
とんねる くぐって うみへでる
にばん ぼたん とおりゃんせ
もんを はいって こんにちは
さんばん ぼたん とおりゃんせ
あなから かおだす もぐらもち
かぼちゃ
たかまる もとこ
かぼちゃを見ていると
話しかけたくなるんだ
ヨオッ
と肩をたたいたりしてさ
音も
ドテッとして
きどっていないし
けっとばされたって
あっけらかんとして
空を見ているだろうし
君を見ていると
心まで
どっしりとしてくるんだ
『地球のコーラス』らくだ出版
せかいじゅうの うみが
「マザーグース」
せかいじゅうの うみが
ひとつの うみに なっちゃえば
どんなに おおきな うみだろな
せかいじゅうの きが
ひとつの きに なっちゃえば
どんなに おおきな きだろな
せかいじゅうの おのが
ひとつの おのに なっちゃえば
どんなに おおきな おのだろな
せかいじゅうの ひとが
ひとりの ひとに なっちゃえば
どんなに おおきな ひとだろな
おおきな ひとが
おおきな おので
おおきな きを きり
おおきな うみへ
ばたん ずしんと たおしたら
どんなに おおきな おとだろな
たね
谷川 俊太郎
ねたね うたたね
ゆめみたね
ひだね きえたね
しゃくのたね
またね あしたね
つきよだね
なたね まいたね
めがでたね
はきはき
みのむしせつこ(工藤 直子)
ひとりで ブランコしていたら
とんぼが「あそぼう」と
とんできました
わたしは「はい」というかわりに
かくれてしまいました
そのよる ねどこのなかで
へんじの れんしゅうをしました
「はい!あそびましょ
はい!あそびましょ
はい!あそびましょ」
あしたは
はきはき へんじできますように
あしたも
だれかが あそびにきますように
春のうた
草野 心平
かえるは冬のあいだは土の中にいて春になると地上に出てきます。そのはじめての日のうた。
ほっ まぶしいな。
ほっ うれしいな。
みずは つるつる。
かぜは そよそよ。
ケルルン クック。
ああいいにおいだ。
ケルルン クック。
ほっ いぬのふぐりがさいている。
ほっ おおきなくもがうごいてくる。
ケルルン クック。
ケルルン クック。
石 こ ろ
まど・みちお
石ころ けったら
ころころ ころげて
ちょこんと とまって
ぼくを 見た
─もっと けってと いうように
もいちど けったら
ころころ ころげて
それから ぽかんと
空を 見た
―雲が 行くよと いうように
そうかい 石ころ
きみも むかしは
天まで とどいた
岩山だったか
―雲を ぼうしに かぶってね
石ころ だまって
やっぱり ぽかんと
あかるい あかるい
空を 見てる
―星が 見えると いうように
早口ことばのうた 藤田圭雄
早口ことばを しってるかい
おやゆびしっかり にぎりしめ
くちびるじゅうぶん しめらせて
あたまをひやして しゃべるんだ
なまむぎ なまごめ なまたまご
むずかしそうだが なんでもない
おへそにちからを いれるのさ
ほっぺたよくよく もみほぐし
あおぞらみつめて しゃべるんだ
こうきょうきょく かきょく
きょうそうきょく
だれなのみてたの きいてたの
れんしゅうちゅうだよ だめですよ
ひとりじゃてれるよ まごつくよ
ふたりでなかよく しゃべろうよ
しょうぼうしゃ せいそうしゃ
さんすいしゃ
夕日がせなかをおしてくる
阪田 寛夫
夕日がせなかをおしてくる
夕日がせなかをおしてくる
まっかなうででおしてくる
そんなにおすなあわてるな
歩くぼくらのうしろから
ぐるりふりむき太陽に
でっかい声でよびかける
ぼくらも負けずどなるんだ
さよなら さよなら
さよなら さよなら
さよなら きみたち
さよなら 太陽
ばんごはんがまってるぞ
ばんごはんがまってるぞ
あしたの朝ねすごすな
あしたの朝ねすごすな